日本の中で独立国家の領土が広がっている!-独立国家のつくりかた [書評]

この日本の中に独立国家を本当に作ったといえば驚くでしょうか? 首都は銀座4丁目、首相官邸は熊本県の内坪井町、国会は東京ミッドタウンにあり、人口も既に1万人を超えている。この本はこんな荒唐無稽なことを成し遂げた(成し遂げつつある)1人の男の物語です。

独立国家を作ったきっかけは3.11の震災の対応で政府が信じられなくなったこと。政府が信じられないなら自分で作るしかないと建国されました。

新政府の最初の施策は生存権の死守。「自殺者をゼロにすることに全力を尽くす」ということです。これは著者が学生のときに接した路上生活者に大きく影響を受けています。

ホームレスについては一章を割いて書かれていますが、登場する路上生活者は個性的です。例えば、オール電化のブルーシートの家に住む鈴木さん、金やプラチナをゴミ袋から探し出すトレジャーハンターの佐々木さん、所有者のない土地を所有している大ちゃん、などなど…

 このような魅力的な路上生活者はほんの一部の人なんだろうけど、ぼくらとは違うものの見方に驚きを与えてくれます。著者の坂口さんは、この社会の見方の違いを「レイヤー」と表現しています。

都市を見る「レイヤー」は無数に(多重的に)あって、レーヤーが違うということは生き方が違うということ。例えるなら、ぼくたちに見えているこの社会とはパラレルワールド的に異なる世界に生きているということ。そのパラレルワールドでは、この世界の決め事や法律がなんの意味も持ちません。

坂口さんが作った独立国家は、日本の中に存在しているパラレルワールド的な国家かもしれません。しかしそれはぼくたちが意識を変えれば直ぐに目の前に現れてくる国なのです。

パラレルワールド的といっても現実の世界にまったく関係ない訳ではなく、大きな影響を与える存在になるのではないかという気がします。今後、この現実世界に新政府がどのような影響を与えてくれるかとても楽しみです。

 

本書は魅力的であり危険な匂いもします。凡庸な若い人が読むと、毒されて間違った方向に進んでしまうのではないかと危惧してしまうほどです。(ぼくぐらいの年になると毒の耐性ができているので大丈夫ですが、ちょっと痺れました)

本書の1/3程度を割いて著者の半生(半生というより大学の卒業前後の数年)が書かれていますが、その行動力と信念には舌を巻きます。

ざっくり説明すると、路上生活者を調査した卒業論文を出版社に持ち込んで書籍化して、海外にまで売り込みに行ってパトロンを見つけるという話です。 

このような生き方ができる人は、ぼくたちとは違う特殊な才能を持っている人だと思います。しかも訴えかけてくるパワーは相当なものです。日常に刺激がない人は、このパワーに毒されてみるのも良いかもしれません。

ぼくたちとは違ったレイヤーに住む人の、とても魅力的なおすすめ本です。

 

最後まで読んでもらって、ありがとうございます。 

それではまたお会いしましょう。いそっぴ(@isopiii)でした。

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