芥川賞作家に学ぶ文章の書き方-[読書ノート]文は一行目から書かなくていい

芥川賞作家による文章術の本である。

本書は「どうしたらうまく書けるだろうか」「人に伝わる文章とは」といったことや、コピペ・検索時代において文章を書く心構えについて書かれている。

この本のポイント

本書の最大のポイントは、芥川賞作家が書いている文章術の本だということある。

著者の藤原智美氏の名前は知らなくても、受賞作「鉄道員」や「暴走老人」の書名なら知っている人も多いと思いう。

そんな芥川賞作家が書いた文章術の本だが、小難しいことは書かれてなくとても分かりやすい内容である。

本書に披露されている「書く技術」(主に第1章〜第3章)や「心構え」(主に第4章・第6章)は私たち素人ライターにも十分役に立つ内容だ。

第5章はデジタル化時代に対する著者の危惧や不安ついて書かれているのだが、この部分をデジタルメディアに対する否定的な意見だと捉えるのではなく、デジタル化時代で文章を書く私たちへの警句と捉えたい。  

「文は一行目から書かなくていい」とは何か?

パソコンで文章を書くのであれば、あとからいくらでも自由に校正できるので、好きなところから書けばいいということである。

アタマでは分かっていても、書き直しに負担が大きい「紙に文章を書いていたころの呪縛」から逃れることは難しく、最初からきちんとした文章を書かないといけないと思っている人が多い。

そんなことはなくて、結論ありきの話であれば結論から書けばいいし、起承転結の「転」のアイデアがなくても、とりあえずないまま書き出せがいいということである。

人間の思考というのは断片的です。もちろんそれを文章にして伝えるためには一定の秩序を与えることが必要ですが、断片的な思考を頭のなかだけで整理するのは限界があります。

書き終えたあと何度も推敲するのだから、思うまま書けばいいと著者はアドバイスしている。

 

その他のテクニック

・形容詞は安易に使わず人に伝わるイメージで表現する

  「思いのほか大きい」⇨「XXXが2個おける大きさ」

・逆説以外の接続詞を外す

  「そして」「また」「だから」は不要なことが多い

・句読点や語尾の処理による文章のリズムに気を配る

  センテンスの長さをバランスよく

  同じ語尾を続けない

・漢字の自動変換には気をつける

  普段使わない漢字は避ける

     例)薔薇・鬱・ご無沙汰・宜しく

・短い文章の場合のテーマはひとつ

  あれこれ盛り込まない

  短い文章にも時間をかける

・文章は推敲で削ることが大事

  「書く力」と同じぐらい「削る力」が必要

  ときには段落ごと削る

・「余談だが」「ちなみに」で横道にそれない

  余談に逃げるのは内容に自信がないから

など、文章を書くときの注意点が具体的に書かれているのが分かりやすい。

「検索、コピペ時代の文章術」とは何か?

本書のサブタイトルにもなっている「検索、コピペ時代の文章術」は第5章のタイトルでもある。

検索やコピペを使って文章を書く指南ではなく、検索やコピペに頼り過ぎずに自分のアタマで考えて文章を書くことを著者は主張している。

文章を書くときにコピペを多用するのはもっての外だが、検索やランキングサイトに頼ると「自分のモノサシ」を失ってしまう、という指摘には納得するものがあった。

しかしながら、著者のデジタルメディアに対する不安と危惧の例として書かれている

  「電子書籍」⇨遠浅の海
  「Twitter」⇨仮想空間に消えていく文章
  「ケータイ小説」⇨読み手と書き手がつながるためのゲーム
  「検索サイト・ランキングサイト」⇨オリジナが欠如する
  「ネット辞書」⇨血肉にならない

というのは心配しすぎなような気もする。

それとももしかすると、常にネットを使った生活している私のデジタルメディアに対するリスクの感覚が麻痺しているのかもしれない。 

 おわりに

ネットを活用すると便利であることは間違いないが、最適化されたネットの情報に頼りすぎると「自分のアタマで考えられなくなる」というリスクがあるということを肝に銘じたい。

by isopiii

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