元祖、仕事の効率化- [書評] 知的生産の技術 by 梅棹忠夫

2013 03 10 22 48 37

1969年が初版の本なので、書かれているエピソードの時代背景は相当古いが、書かれている内容はまったく陳腐化していない。陳腐化していないどころか、流行りの「ライフハック」や「仕事の効率化」の元ネタがここにあるといってもいいぐらいだ。

海外の研究者は英文タイプライターを使って効率よく論文を書いているのに、(当時はワープロがなかったので)日本語は手書きをしなければならないという非効率的なことに梅棹忠夫さん我慢がならなかった。

そのため「ひらがなタイプライター」を考案するのだが、その影響でこの本の文章はとてもひらがなが多くなっている。

「ひらがなタイプライター」の取り組みは現代では役に立つ話ではないが、ワープロソフトのありがたみがわかるとても興味深いエピソードであった。

この本はそんな40年以上も前に書かれたものあるが、その内容はこの時代になってもまったく陳腐化していない。

「ライフハック」や「仕事の効率化」で最先端を走っている人も、おそらくこの本からインスピレーションを得たに違いないと私はにらんでいる。

この本に書かれている「知的生産の技術」をまとめると次の3点になる。

  • カードを使った情報管理術
  • 発見のための創造的読書術
  • 知的生産のための文章術

 

カードを使った情報管理術

梅棹忠夫さんが考案した「京大型カード」でアイデアや調査結果をまとめる方法が書かれている。

カードを使った情報管理術ので注意すべき点。

  • 忘れるためにカードを書く(記憶を頼りに知的作業はできない)
  • 完全な文章で書く(カードはメモでなく豆論文である)
  • 必ず見出しをつける(見出しがないと活用できない)
  • カードの目的は整理ではない(取り出して見返すことである)

 

私もEvernoteをアイデアメモとして使っているが、そのとき感じることを梅棹忠夫さんも感じていたのが嬉しかった。

自分の知識や思想を、カードにしてならべてみると、なんだ、これだけか、という気がして、自分の自尊心をきずつけられるような気がするのである。

 

発見のための創造的読書術

本を読んでまとめやメモを書いても意味がない。

そのようなことをすると、究極的には本をすべて写し取ることになってしまう。

読書においてだいじなのは、著者の思想を正確に理解するとともに、それによって自分の思想を開発し、育成することなのだ。

読書のときは、気になったところ(触発を受けたところ)にラインを引いて付箋を貼るまでに止めよう!

 

知的生産のための文章術

あらかじめ設定した分類に、アイデアを仕分けしても新しい思想は出てこない。なぜなら、新たしい思想は既知の分類を超えたろころにあるからである。

分類するのではなく、論理的につながっているアイデアを順序立ててまとめていくと、既知の分類にとらわれない新しい思想がでてくるのである。

このやり方を体系化したのは「KJ法」と呼ばれている。
(KJ法の創始者は東京工大教授の川喜田二郎さん)

 

おわりに

最後にもうひとつこの本から抜粋して終わりたい。

くりかえしいうが、実行がかんじんである。実行しないで、頭で判断して、批判していたのでは、なにごとも進展しない。(中略)こういう話に、安直な秘訣はない。自分で努力しなければ、うまくゆくものではない

この本を読んだら即、実行すべし!

こういった長い年月の風雪に耐えて残った本こそ読むべきである。

by isopiii

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