本は自分の頭を耕す鋤鍬である− [書評] 本を読んだら自分を読め by 小飼 弾

本を読んだら自分を読め

僕が購読しているブログの中で、一番難解なブログは小飼 弾さんの「404 Blog Not Found」である。その小飼さんの本ははじめて読むので、どのくらい難解なのかと思ったら、拍子抜けするぐらい読みやすかった。

404 Blog Not Found」は月間100万ページビューを誇る人気のブログで、そのメインコンテンツのひとつが書評である。

その小飼さんはどれほど読書しているかというと、年間に5,000冊の本を読破しているらしい。

500冊なら理解の範囲だが、5,000冊というのは毎日読んでも13冊/日のペースでもう想像できるレベルではない。

そんな超人的読書家が若者向けに「本を読め」というメッセージを送っているのが本書である。

紙面は2色刷りでポイントのところがオレンジになっているので、本を読まない人でもストレスなく読めるようになっている。

フォントも少し大きめで行間も広めだ。

星新一、小松左京、筒井康隆にふりがながふってあるのは、本書がターゲットにしている20代からみると、彼らは既にSFの古典だからだろう。

僕は学生時代にSFにはまっていた時があって、当時はほとんど海外ものを読んでいたのだけれど、日本人SF作家のなかで読んでいたのが彼らだったので、小飼さんにすごく親しみを持った。(というか、日本のSF作家のを語るのにこの3人は外せないのだけれど)

本書は小飼さんの学生時代の本にまつわるエピソードや、読書によってどのようにして知識を蓄えそして頭を鍛えればいいのかが書かれている。

ブログを書いている人なので、1章ごとがコンパクトにまとまっていてとてもわかりやすい。

「本を読む時間もないほど働いてはいけない」とか「なにを買うかより『何円分』買うか」なんてユニークな主張もある。

「なにを買うかより『何円分』買うか」というのは、書店に行くときは予算を決めておいて、予算分まで本を買うまで帰らない、という本の買い方である。

子供の頃に300円を持って遠足のおやつを買いに行ったのと同じように、予算内でどんな組み合わせで本を買うのか考えるのを楽しむ、というこの本の買い方はとても共感できる。

しかし本書が対象にしている(と思われる)本を読まない20代の人にこの感覚がどれほど伝わるだろうか?

本書のような「読書論」自体、少しなりとも本を読む人でないと手に取らないのではないかと少々心配する。

読書を習慣にしている人が読んでも楽しめる内容になっているが、 ぜひとも一人でも多くの本を読まない20代の人に手に取ってもらいたい一冊である。

by isopiii

  • このエントリーをはてなブックマークに追加