この公園ではスケートボードの使用は全面禁止です。

「守ろう!形のない約束事を。」???
はじめてこの看板を見たときに、その意味がよくわからなかった。

2013 10 19 19 30 15

米国のリサーチ会社の調査によると、職場で過ごす時間の40パーセントが「売らない売り込み」に使われているという。

「売らない売り込み」というのは、モノの売買ではなく、人を説得し納得して動いてもらうことである。

つまり、人を説得し納得してもらうために、仕事の時間の半分を充てていることになる。

現代の社会においては、人を説得することが、それほど多くなっているということなのだろう。

 

人を説得することは、なにも仕事だけのことではない。

プライベートでは、親や子供や妻や友人など、様々な人たちに日々お願いをしているし、ときには命令もしている。

「勉強しなさい」
「ご飯作って」
「明日早いから起こして」
「買い物いって」
「ゲームしていいでしょ」
「小遣い上げてくれよ」

などなど。

家庭での会話は、職場以上に説得が多いかもしれない。

 

というところで、この看板を見てほしい。

「この公園ではスケートボードの使用は全面禁止です。」ではなくて、その下の「守ろう!形のない約束事を。」の方である。

はじめて見たときに、この看板の言葉の意味がわからなかった。

「守ろう!形のない約束事を。」???

一目見てわからない看板というのが、その役割を果たしているのかどうかは疑問だが、それは今回のテーマではない。

問題にしたいのは、「守ろう!形のない約束事を。」という言葉が、それを伝えたい人にどれほど響くのか、ということである。

 

おそらくこの言葉は、法律や条例では公園でのスケートボードは禁止されていないが(つまり形はないが)、「危険なのでやめてね」という意味だと思う。

そして依頼の主は、公園管理者か地元の自治会で、依頼されるのはスケートボードをする若者たちなのだろう。

そうしたときに、「守ろう!形のない約束事を。」という言葉が、若者の心に響くのか?

いや絶対に響かない。

まず、意味がわかりにくい。

意味が通じたとしても、「勝手に約束事を決めてんじゃねーよ」と反発されるのがオチである。

言葉の意味はわかり難くても、上から目線であることはなんとなく伝わってしまうものだ。

そうであれば結果として、この看板は「スケートボードをしないでほしい」という説得に失敗したことになる。

 

ではどのように書けばいいか?

批判するだけでは無責任なので、ぼくなりに考えてみたのだが、

「小さな子供と衝突する事故がありました」

というのはどうだろうか?

「この公園ではスケートボードの使用は全面禁止です。小さな子供と衝突する事故がありました。」である。

事故があったから、「スケートボードを控えてほしい」とお願いする文脈である。

「形のない約束事を守る」よる「小さな子供と衝突しない」の方が、心に響くと思いませんか?

 

何が云いたいかというと、人はその説得の「背景にあるもの」に共感しないと、納得しないということである。

説得する側から云うと、人を説得するには、相手がその説得を受け入れるための「材料」を提供する必要があるということだ。

特に相手が否定的なときは必須の条件となる。

つまり、「小遣い上げてくれよ、飲み会が多くて、今の小遣いじゃ回わんないんだよね」では、妻を説得できないということである。

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