原価率88%でも利益が出る理由−『俺のフレンチ 俺のイタリアン』坂本 孝(著)

15~20坪の小さな店で、1日3回転以上して、月商1200万~1900万も売り上げる。

原価率60%をこえる魅力的なメニューで、すべてのお客さまに満足してもらう。

これが「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」のビジネスモデルだ。

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大阪にも出店したので、いちど訪れたいと思っているのだが、開店前から行列ができていて、2時間待ちも珍しくないと聞いて二の足を踏んでいた。

そんな「俺のイタリアン」の創業の秘密をつづった本が、この『俺のフレンチ 俺のイタリアン』だ。

立ち飲みレストラン「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」の魅力はそのメニューにある。

一例をあげると

  • フォアグラと白レバーのムース 580円
  • アナゴとウニクリームのテリーヌ 680円
  • オマール海老とトリュフのリゾット 980円
  • トリュフと温泉卵のポテトサラダ 580円
  • ピッツァマルゲリータ 580円

などなど

めちゃめちゃ魅力的なメニューだ。

しかもボリュームもあるという。

そのうえ、ミシュラン級のレストランで腕を磨いたシェフが作っているというのだから、人気が出ないわけがない。

でも、どうしてそのようなことが可能なのだろうか?

その秘密の一部をこの本から紹介したい。

経営者の立場から

「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」を創業したのは、坂本 孝さん。

名前を知らない人も、ブックオフを創業した人と言えばわかってもらえるだろうか。

坂本さんがブックオフの会長を退任されて、つぎに手がけられたのが「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」だ。

坂本さんは「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」を創業するにあたり、ブックオフの成功体験を再現すべく、飲食店における「競争優位性」を追求された。

つまり、まねしにくい参入障壁が高いビジネスモデルの構築だ。

その答えが、『一流の料理人が、一流の料理を作り、かつてないほどリーズナブルな価格で提供し、お客さまに驚くほど「おいしい!」「安い!」と感じていただく』ということだった。

その競争優位性を実現するために、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」では、一般的な飲食業では30%と言われている食材の原価率を60%まで引き上げている。

原価率60%でも利益が出るように、立ち飲みスタイルでお客さまの回転率を上げている。(計算上では回転率をもっと上げれば、原価率88%でも利益が出るらしい)

つまり「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」は薄利多売型のビジネスモデルなのだ。

薄利多売型のビジネスモデルというと、ファーストフードを思い浮かべるが、ファーストフードとの違いは、ミシュラン級のシェフが腕を振るっているところ。

普通に考えると、そのような料理人は、客単価が高いところで働くことを誇りに思い、薄利多売の店では働かないようなものだが、なぜ「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」に入るのだろうか?

料理人の立場から

「海外で修業して得た技術、料理をお客さまに提供したい」という料理人の気持ちに応えるために「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」がある。

ホテルのレストランは、年に数回しかメニューが変わらないから、料理人が自分のアイデアを試したり技術を磨く場がない。

調理場はコストダウンと品質の均一化のために、セントラルキッチン化が進み、冷凍食品や調理済み食材を使うことが多くなる。

そもその業界の常識として、料理人に食材を仕入れる権限がない。

実際のところ、オーナーシェフでなければ料理人の裁量権はとても少ないのだ。

これでは、アイデアと技術がある料理人が、腕を振るい切磋琢磨することができない。

名店で料理長クラスになっている人も同じ思いを抱え、自分たちの将来に危機感を持っている。

そのような料理人の危機感や不満を「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」は解消してくれるのである。

ここでは、食材の仕入れは料理人に任され、店舗の裁量で調理において創意工夫することが認められているのだ。

料理人にとって、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」に入ることは、独立するというリスクを背負うことなく、自分の裁量で自由に料理を作ることができる最大のチャンスを得ることになるのである。

お客さんの立場から

この本を読むと、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」のシェフたちがイキイキと働いている姿が目に浮かぶ。

一流の料理人が、一生懸命につくる料理が美味しくないわけがない。

そのうえ、食材にもコストをじゃぶじゃぶとかけている。

お店の業績も伸びているので、仕入れも増え、バイイングパワーを発揮して、ますますいい食材を安く提供できるようになってくる。

どうせお金を払うなら、美味しいものを食べたい。できればリーズナブルに。

お客さんのそのような期待に応えてくれるのが、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」なのである。

おわりに

飲食業に興味がある人、働く意味を考えたい人、「俺のフレンチ 俺のイタリアン」で食事がしてみたい人にお勧めの本です。

お安く買えるKindle版もオススメです。

きょうはこのぐらいで。
それではまたお会いしましょう!

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