論理思考を鍛える人生相談の本-『悩みのるつぼ〜オタクの息子に悩んでいます〜』岡田斗司夫(著)

数年前に朝日新聞を購読しているときに、楽しみにしていたコーナーのひとつ「悩みのるつぼ」

「悩みのるつぼ」は読者からの人税相談に答えるコーナーなのだけど、通り一遍の正論ではなくて、個性的な回答者が思いもつかない回答をするのが楽しみだった。

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僕が読んでいた頃のコーナーの担当者は、経済学者の金子勝さん、純文学作家の車谷長吉さん、フェミニストで東大教授の上野千鶴子さん、そして岡田斗司夫さんの4名だった。

車谷さんの、40代の高校教師からの「教え子の女子高生に恋をしてしまった」という悩みに、「好きになった女性とできてしまえ。そうすれば人生が見えてくる」という破滅的な回答や、上野さんの、男子中学生からの「性欲が強すぎて勉強に身が入らない」という悩みに、「熟女に土下座してたのめば10回に1回はやらせてもらえる」という刺激的な回答には(全国紙のノリとは思えない内容だったので)仰天した。

これらの回答はネットでも話題になったので、知っている人もいるかもしれないね。

このような文章を掲載することにおいて、僕は朝日新聞を尊敬しているのです。

「人生地獄だ」という信念をベースに底抜けに暗い回答する車谷さんや、「あんたバカじゃない!」と一刀両断の回答する上野さんは際立つおもしろさがあったが、それは読み物としての楽しさであって、相談者の回答になっていたかは疑問だ。

それに対して、岡田斗司夫さんの回答は、僕たちが思いつかないような切り口で回答すつつ、それでいて説得力があり、質問した人の役に立ち(実際に役に立つ人生相談て少ないと思いませんか?)、ときには読んでいてジ〜ンと胸を打つこともある魅力的な人生相談だった。

かなり前置きが長くなったが、その岡田斗司夫さんの人生相談をまとめたのが本書で、あわせて、どのように人生相談の答えを考えているかという手法も明らかにされている。

人生相談というと、回答者の人生経験や人生の信条をバックボーンに、感覚的に書かれているイメージがあるが、岡田さんの人生相談はそれと相反する超論理的な分析に基づく人生相談なのが特長だ。

詳しい中身までは書けないが、岡田さんは11個の思考ツールを使って考えている。

  1. 分析:相談者の本当に相談したいことを見極める
  2. 仕分け:解決できることと解決できないことに分ける
  3. 潜行:「なせ?なぜ?なぜ?」と深く考える
  4. アナロジー:たとえ話に置き換える
  5. メーター:物事を100かゼロかで考えない
  6. ピラミッド:物事を「全体の中の位置づけで考える」
  7. 四分類:2×2のマトリックスに分割して考える
  8. 三価値:相反する2つの価値の第3極を見つける
  9. 思考フレームの拡大:考える対象を広げる
  10. 共感と立場:相談者のためになる回答を考える
  11. フォーカス:具体的に行動を示す

一言コメントではよくわからないですよね。

なので「潜行」について少し詳しく書いておきます。

「やはり僕は腹が立ってどうしようもありません。どうすればいいでしょうか?」と質問があった場合

どうすればいいかを考える前に、「なぜがのだろう」「その腹が立つということは正しいことか、間違っていることか」「正しいか、間違っているかに関係なく、損か得か」「なぜ、それを自分は損と考えるのだろう。そもそも腹を立てて得なことってなんだろう」というふうにどんどん深く考えるのが潜行。

一般的なロジカルシンキングは、なにか問題があると「じゃあ、どうしよう、こうしよう、ああしよう」と上に上にと考える。

だからロジカルシンキングなんて役にたたないのだ岡田さんは書いています。

この本の後半には、実際に新聞に掲載された人生相談が納められています。

その中の、ひとつふたつを読んでみて、「ガツン」ときたたら、全編を読むことをおすすめします。

きょうの”きっかけ”

これは、「人生相談のきぐるみを着た」岡田斗司夫流ロジカルシンキングの本です。

ロジカルシンキングの本は、無味乾燥でしっくり来なかった、という人は、ウエットなロジカルシンキングの方法が書かれた本書をおすすめします。

今回はこれぐらいで。
それでは、またお会いしましょう!

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