「いい写真」を撮りたい写真愛好家向けの写真論〜『写真のはなし』

一眼レフカメラを購入して、記念写真ではない「写真」を撮り始めたのは1年前のことだ。

その頃は、ただきれいな写真を撮ることで満足していた。

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写真に本格的に取り組むと、ただきれいな写真では満足できなくなる。

写真を見た人の心に響く「いい写真」を撮りたくなる。

でも「きれいな写真」と「いい写真」の違いはどこにあるのだろうか?

人の心に響く写真というのは、どういった写真のことなのだろうか?

写真を始めた頃のように、素直にシャッターを押せなくなったときに、この本に出った。

『写真のはなし』という本は、写真雑誌「フォトコン」に連載されたコラムをまとめたものだ。

コラムを執筆されたのは、染谷 學さん、大西つぐみさん、築地 仁さんの3人の写真家。

一般的な写真家向けに書かれた「写真論」というのがコラムのコンセプトになっている。

写真を撮ることに戸惑いを感じ始めた僕にピッタリのテーマの本だ。

ではさっそく紹介しよう!

なぜ写真を撮るのか

最初のきっかけは何でもいいのだと思います。ただ、いま真剣に写真に取り組んでいるぞ、という人ならば、「なぜ写真を撮るのか」と、つねに自分に問いかける必要があると思っています。(中略)「いったい自分はどんなときにシャッターを押すのだろう」「自便の写真にはどんなことが内っていて欲しいのか」ということを、ちゃんと言葉にして考えてみるということです。

なぜその写真を撮ったのかを「言葉にすることが大切」だと染谷學さんは言う。

そうすることで、自分の写真に対する考えが明確になり、テーマが生まれ、解釈が備わり、表現方法が選ばれる。

具体的な方法のひとつは、気に入った1枚の写真を見つめなおして「こんなことが写っているかと思うから好きなんだ」という答えを見るけること。

構図や色や誰かに褒められたということは抜きに考える。

そうして導き出された答えが「表現意図」であり、自分の写真の方向性がそこに示される。

自分の1枚の写真を見つめなおすことが、次の写真に導いてくれるのである。

シャッターチャンスの罠

しかし、シャッターチャンスが肝心なことは間違いないのですが、私にはどうしてもちょっと引っかかる気持ちが残ってしまうのです。それはなにかというと、シャッターチャンスのいい写真には、逆に「一瞬で見終わってしまう」写真が多いように思えるということです。

シャッターチャンスだけに頼った写真は、「良い瞬間」だけに「瞬間的」に理解されてしまう。

では、シャッターチャンスに頼らない写真はどのようなものなのだろうか?

そのひとつの答えが、「目の滞在時間が長い写真」

「一瞬で見終わってしまわず」に時間をかけていろいろなことを思わせてくれる写真。

写真はシャッターを切った瞬間だけが写し撮られるものではなく、シャッターを切った前後のストーリーも表現することができる。

いわゆる物語を感じさせる写真のころ とだが、この前後の物語を写し込む事ができるのが、本当のシャッターチャンスなのである。

作品ではなく写真を撮る

「被写体を一義的な意味にはめ込むこと」「安易に自分を表現した気になること」「形や色などの造形だけで写真を撮ること「決まりきったシャッターチャンスに縛られること」「型にはまったお手本の再生産を繰り返すこと」

このような意識を排除することが「良い写真」を撮るための近道となる。

逆にこれらの意識に囚われると、だたきれいなだけの写真になってしまう。

しかしある程度、写真を撮る技術が身に備わってくろと、テクニックを駆使した写真が撮りたくなる。

テクニックを駆使するときれいな写真が撮れるから。

しかしそれは作品であって写真ではない。

写真を撮るためには、「写真てなんだろう?」「なぜ写真を撮るのだろう?」ということを常に自分に問いかけなければならないのである。

おわりに

写真の魅力に取りつかれながらも、「写真を取るということ」に戸惑いを感じ始めた僕にピッタリの本でした。

きれいなだけの写真を卒業して、人の心に響く「良い写真」を取りたい人におすすめの本です。

「写真」のはなし

「写真」のはなし

  • 作者:染谷 學,築地 仁,大西 みつぐ
  • 出版社:日本写真企画
  • 発売日: 2014-04
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