天才写真家の写真術!『天才アラーキー写真丿方法』[書評]

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アラーキーこと荒木経惟さんの著書『天才アラーキー写真丿方法』を紹介しよう!

 

「丸い縁の黒めがねをトレードマークにしたエキセントリックなヌード写真家」というイメージがある荒木経惟さんだが、実のところヨーロッパでも高く評価されている日本を代表する写真家の一人だったりする。

その荒木さんが、カメラやフィルムの選び方から「写真哲学」までを語っているのが本書だ。

「語り」をそのまま文章にしたように書かれているので、スラスラととても読みやすい。

がさつでちょっと乱暴なところもある語る口だが、それは逆に本音をしゃべるときの照れ隠しだという感じがして好感が持てる。

本書は2001年5月初版で、2014年10月時点で13版が発売されている人気の本。

アラーキーのファンはもちろん、写真(特にスナップ写真)を趣味にしている人には超おすすめしたい本だった。

それではさっそく紹介しよう!

この本を手に取った理由

 写真を撮り始めてから今まで、荒木経惟さんにはそれほど注目していなかった。

ところが先日、書店で見かけた荒木さんの写真集『センチメンタルな旅 冬の旅』を手に取って衝撃を受けた。

これまでに見てきた写真集とはまったく異質、そしてめちゃ心を揺さぶられてしまった。

そでまでは荒木経惟さんはエキセントリックな写真家というイメージが強く(ヨーロッパで高く評価されているのは知っていたが)、ちょっと抵抗があったが、エキセントリックなのは見せかけだけで、本質は違うのではないかと思ったからだ。

本書の目次

第1章 幸福の取り方

第2章 写真は3Pである!

第3章 街を撮る

第4章 レンズ、そして構図

第5章 ポラこそ写真だ!

第6章 アラーキーの整理術

第7章 ポートレート論

第8章 出すか出さないか論

第9章 愛しのマキナ

第10章 「日付け』芸術論

第11章 韓国を撮る

第12章 鑑真和尚を撮る

第13章 世紀末丿写真

第14章 「アラキネマ」誕生

気になった3つのポイント

写真っうのは、事件がないほうがドラマチックだし、重要なものが入っているワケよ。「火事だ!」っていうより、火事なんかじゃないときの「心の火事よ」(笑)とかさ。そういうことのほうが写真は表現しやすいんだよ。事件が起きちゃうと、結局内面まで到達できないのよ。事件っうのは表層がすごいからね。でもまあ、表層も内面をふくんでるんだろうけど。

「第1章 幸福の取り方」より

決定的瞬間を撮るより、決定的でないときを撮るほうがものごとの内面を表現できるということだろうか?

いや、いま勝手に私は「物語」って言ったけど、被写体っうのは、最初からすでに物語を持ってるんだ。被写体っつうのは、そういうもんなのよ。うん。でも、その物語を彷彿(ほうふつ)とよみがえらせるような写真じゃないとダメなんだ。それが、いい写真というか、面白い写真なんだよね。

「第3章 街を撮る」より

この「物語」というのは事実ではなく、写真家が空想(妄想)した「物語」であっても、それが写真で表現されていればいいということ。表現された「物語」が事実か事実でないかは問題ではない。

だからね、肖像は、プライドを持たせなきゃいけませんよ。その人が俺に何をプレゼントしてあげたかというと、撮らせてもらったお礼はプライド、っていうこと。(中略)見て滅入っちゃうようなポートレートはダメ。生きてる喜びとか、生きる愛とかさ、そういうのを撮らなきゃダメですよ。

「第7章 ポートレート論」より

荒木さんの優しさが現れているとても言い文章だ。モデルになってくれた人に「プライド」をプレゼントするなんて、めちゃかっこいい。

まとめ

実績ある写真家が、写真を撮るときに何を考えているのかというのはとても興味深い。

そういう意味では、本書は荒木経惟さんの「写真哲学」の一端が見れたような気がする。

とはいうものの、荒木さんの著書は200冊もあるのだというから、本書を一冊読んだだけでは全貌なんてとても掴めないのだろうけど、荒木さんに興味を持って、初めて読むには本書は最適だと思う。

スナップ写真を撮る人には超おすすめ!

同じ新潮社新書から出ている『天才アラーキー 写真の愛・情』も読むぞ!

天才アラーキー写真ノ時間 (集英社新書)

天才アラーキー写真ノ時間 (集英社新書)

  • 作者:荒木 経惟
  • 出版社:集英社
  • 発売日: 2002-12
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